無形資産への注目-Immaterial Assets
無形資産への注目-Immaterial Assets
無形資産はなぜ注目されるようになってきたか。
一般的に、無形資産は、土地、設備投資、金融資産などの有形の経営資源(有形資産)に対する言葉として「見えざる資産」の意味で用いられている。知的資産とは、人間の知的活動から生じる価値を意味し、特許を有していない技術、製造工程、ノウハウなどがそうである。
その中で、法律や契約により権利として保護されるものを知的財産と呼ぶ。商号、著作権、デザイン、ドメインネーム、ライセンス契約などがそうである。
さらに、知的財産の中で、特許権、実用新案権、意匠権、商標権として保護されるものは産業財産である(中央青山監査法人(2002))。
近年、無形資産に対する関心が高まっている背景には、企業の価値が有する有形資産のみでは企業価値や事業価値が測定困難になりつつあることが挙げられる。
特に、企業の研究開発活動による価値評価は、リスクや不確実性が高まるにつれ、それらを含んだ評価手法が発展してきたため、測定困難さを促進している。
このような状況の中、政府は、2002年2月に知的財産戦略会議を設置することを決定、同7月には知的財産戦略大綱を発表、さらに、2003年3月には知的財産基本法を施行し、同時に知的財産本部を設置するなど、知的財産権の保護やその価値評価など種々の対策を行い始めている。
一方で、企業の価値評価という観点からも、「「企業の価値評価」も「有形資産」のみならず「無形資産」の価値評価が極めて重要となるのであるが、我が国企業の大半はその評価を無視ないし正当に資産として評価していない」ことも指摘されている(日本弁理士会(2002))。
このような無形資産に関しては、後述するような種々の価値評価アプローチが開発されているが、決定版といえるモデルは開発されていない。
この理由として―①無形資産が「同時・多重利用」が可能である、②無形資産が生み出す便益について「不確実性が高い」、③無形資産の「市場」が存在しない、との3点が論じられている(伊藤(2006))。
これらの中でも主に研究開発行為において取り扱う対象は、知的資産の価値評価と分類することが出来る。
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