ポーターの戦略論-議論

ポーターの戦略論-議論

ポーターの理論に対する反論・弱点の指摘

マイケル・ポーター(Wikipedia)は、企業戦略におけるイノベーションの分析に、産業界の競争を駆動する5つの要因と技術、また、企業が行なわなければならない、幾つかの基本戦略からの選択と技術との明確な関係を示した。さらに、イノベーションの「リーダー」となるか「追随者」となるかの2種類の市場戦略の選択を示している。[1]

ポーターの提示は、合理主義的な主張の典型であるが、示されたいくつかのフレームは極めて有効なもので、ポーターの理論に対する反論・弱点の議論は活発である。

本ページはポーターの理論に対する反論・弱点の指摘に関する。 (本ページは[1]pp95-100を参考に記載)

ポーターの主張をまとめると以下である。

 

以上を踏まえて、技術との関係から、以下の3点が指摘されている。

 

1. “最も効果的に自社を守ることができるような、産業内のポジション”を見出すことは難しい(制約の過小評価)。

2. 産業構造を転換してしまうような、技術変化のパワーを過小評価している。

3. 経営者が、イノベーション戦略を策定し実施するパワーを過大評価している。

いわゆる、経済構造が静的でないため、技術の軌道や、それを活用する企業固有の技術的・組織的なコンピタンスを過小評価している、という点に留意すべきなのである。

 

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<参考文献>

[1] ジョー ティッド他, 後藤晃,鈴木潤訳『イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメント』, NTT出版,2004.

[2] M・E・ポーター, 土岐坤, 服部照夫, 中辻萬治 訳, 『競争の戦略』, ダイヤモンド社、1995新訂.


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