SCPモデル/パラダイム
SCPモデル/パラダイム
SCPモデル/パラダイム
SCPモデル
1930年代、一群の経済学者によって、「企業の置かれた環境、企業行動、企業パフォーマンス」という3つの要素の関係を理解する方法論の研究が始められた。
この研究から生まれた理論的フレームワークは:
「業界構造―企業行動―パフォーマンス・モデル」
略して、SCPモデルとして知られるようになった。このモデルでの業界構造(structure)は、その業界に存在する競合企業の数、製品の差異化の度合い、参入と退出のコストなどによって測定される。
企業行動(conduct)とは、業界における特定の企業がとる行動のことで、市場価格に応じた価格調整による需要変動への適応(price taking)、製品差別化、談合、そして市場占有力を背景とした行動などである。
パフォーマンス(performance)は、①個別企業レベルのパフォーマンス、②業界全体のパフォーマンスの二意がある。
以上のSCPモデルの概略を図にしたものが以下である。
図はバーニー, 2003, p116 図3-1 業界構造-企業行動-パフォーマンス(SCP)・モデルより。
以上の記載は、バーニーの[1]による。
SCPパラダムとしての説明
- 業界の構造を分析する際の枠組みのひとつ。ベイン(J.S.Bain)により体系化された。
それによれば、「構造(structure)→行動(action)→成果(performance)」のSCPパラダイムによって業界の特徴が分析される。
製品差別化、参入障壁、集中度などの業界の構造が、価格政策、製品政策、広告政策などの行動を規定し、それが成果(効率性の指標としての利潤率など)を規定するものである。
これらの因果連鎖がすべて実証されたわけではないが、「構造→成果」に関する集中度*1-利潤率仮説*2など一部の実証結果がでている。業界の分析を試みる上うえで非常に有用なものである。
*1:ある産業(業界)における当該企業の売上が上位企業に集中している割合
*2:寡占的産業の平均利潤率が競争産業のそれより高くなる仮説
以上の文章は、沼上の第Ⅱ部 市場の分析,pp126-127を参考とした。
<参考文献>
[1] ジェイ・B・バーニー, 岡田正大訳, 『企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続
』ダイヤモンド社 ,2003邦訳. 第3章 脅威の分析、3.1 SCPモデルpp115-116より。
[2] 沼上幹, 『わかりやすいマーケティング戦略 新版 (有斐閣アルマ)
』,有斐閣,2008.
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